1 :鳥獣戯画 ★:2022/05/29(日) 21:33:12 ID:CAP_USER.net
マグミクス2022.05.29
https://magmix.jp/post/92399
和解まで単行本102巻を要し「史上最長の親子ゲンカ」と揶揄されることもあるのが、グルメマンガ『美味しんぼ』の主人公・山岡士郎と、その父親である海原雄山の対立です。
東西新聞社の記者として、日本の食文化を残そうとする士郎。それに対して、超一流の陶芸家であり、書道家かつ日本の食文化を極めたような料亭「美食倶楽部」を運営する雄山は、事あるごとに難癖をつけ、ふたりはたびたび料理勝負を行うことになります。
雄山は「士郎は私が生み出した出来そこない」と酷評し、士郎がすることを正面から認めることはほぼありませんでした。士郎がいないところでは、士郎が示した成長を「ふっ、士郎の奴め」などと喜ぶ場面もあるなど、「こじらしたツンデレ」でもあります。
しかし、なぜこのふたりはこんなにも関係がこじれてしまったのでしょうか。劇中では「似たもの同士で、考え方も近い」と言及されてはいますが、対立が表面化したのは、士郎が病弱のまま亡くなった母親を顧みなかった雄山への制裁として「雄山の作品を叩き壊し、家を出た」こととされています。
不思議なのは、雄山が(連載初期の描き方は違いますが)「人の失敗に対して、比較的寛容」な性格をしていることです。岡星良三をはじめ、雄山に仕える料理人はたびたび失敗しますが、そうした人たちは士郎に知恵を借りて、課題をクリアします。
雄山には料理人たちが士郎に入れ知恵されているのを知りながら、そのことはほぼ怒らず、失敗を許す寛容さがあるのです。普通なら「自分と対立し、大切な作品を叩き割った」人物の知恵を借りるなど、逆鱗に触れるはずですが、そういう描写はほぼありません。
雄山が許さないのは、士郎だけとも言えます。ただ雄山が自分の道を極めるために、士郎の母親に対して、パワハラ的な振る舞いをしていたことは「事実」ですから、雄山から士郎に歩み寄ってもいいはずなのですが、物語の最後までかたくなに拒否します(和解には士郎から雄山に謝罪するという、物語の序盤からすれば考えにくい譲歩が必要でした)。
なぜ、雄山は士郎に対して、ここまで頑なだったのでしょうか。回想シーンでは「子供の士郎が取ってきた沢ガニを、雄山は唐揚げにするように指示し、士郎が喜ぶ」といった、良好な親子関係が示されていました。話し合いをする余地もあったように思えます。
そうなった理由には、「士郎が雄山のどの作品を叩き壊したか」という点にあるのではないでしょうか。そもそも士郎は、陶芸や書道にも理解が深く、文化を愛する気持ちを持っている人物です。その士郎が「超一流の陶芸家」である雄山の作品を、ためらいもなく、叩き壊せるでしょうか。
劇中では、雄山の蔵には数多くの作品があります。つまり士郎は「全ての作品を破壊」していないということです。物事の本質を見抜く士郎のことですから「社会的評価は高いが、雄山が納得していない作品」を狙い撃ちにして、破壊した可能性があります。
雄山自身が「後の世に残したくない」と内心で考えている作品だけを士郎に叩き壊され、「心の中を見透かされた」屈辱感があったのではないでしょうか。
「私の作品を壊したことは、認めるわけにはいかない。あれは顧客から預かっている作品や、亡き妻も関わった作品もあるからだ」「しかし、私の本心を見抜いた士郎は大したものだ」という二律背反した気持ちが生まれたということです。「物事の本質を見抜く士郎を育てたい」気持ちと「社会的立場もあり、芸術作品の破壊は、簡単に許すことはできない」気持ちがぶつかり合ったのでしょう。
そして「士郎を許す態度は取れないが、自ら育てられる」ように、帝都新聞社の「至高のメニュー」企画に同意し、定期的に士郎と関われるようにしたことで、より和解するきっかけを失った……と考えられます。
ちなみに第1話では雄山自ら、東西新聞社を訪れ「私の息子はここにいた」など、士郎が息子であることを前面に出していますが、対立する立場となり、そうした顔は表に出なくなります。そう考えると、その後の雄山のねじくれた態度が、より自然に感じられます。
そんな親子も長い物語のなかで歩み寄りを見せ、最新の111巻ではついに士郎が雄山を「父さん」と呼ぶに至っています。連載は長期中断されていますが、良好な親子関係を前提とした二人のエピソードを読みたいものです。
(安藤昌季)
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